契約書は必須と言えるのか
「賃貸契約各論」 項目
1.「契約書は必須と言えるのか」![]()
wrote. サンハイツ吉田 管理者

行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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賃貸契約には契約が必須のように扱われているけれど、
実は民法上の原則論として、契約の効力発生に契約書の存在自体は求められていない。
他の法律等によって特別に要求されたりしているような事例でもなければ、
書面を用意せずとも契約の効力は発生するものとされている。
保証契約に関しては法改正によって書面契約が必須とされたからまた別の話になるが、
少なくとも一般的な当事者同士での契約に関しては成立要件として書面は要求されていない。
民法522条(契約の成立と方式)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
つまり、契約はお互いの意思の合致のみでも成立する(民法522条)。
書面は必須とはされていない。
じゃあ、契約書は作成しなくていいのかというとそういう話ではなく、
当然のことながら、意思の合致というものは対外的に目に見えるようなものではない。
これはすなわち、対外的に契約の有無の証明が必要になった際には、
判断材料がないということでもある。
それによる不備は裁判なんて大袈裟な事例で考えずとも、
大家と借主との個人的な問答を想像してみれば理解できるだろう。
家賃の支払いや物件の使い方等、
契約上でそうなっているか否かを言い合ってもその合意の存在を証明する手立てがない。
そういった不備を回避するために、
意志の合致の証明として契約書を作成しておくのが慣例となっているわけだ。
なぜ、今更こんな当たり前の話を自主管理の基礎知識として掲載するのかというと、
証明として残すという積極作用として書面作成する感覚は一般的に根付いているが、
合意のみでも契約が成立するという法的作用に対して対策を打てていない事例が多いからだ。
すなわち、口頭合意や事実状態が契約として成立してしまうような事例における、
書面による追完や事実関係の否定だね。
後の項目で詳しく解説してゆくが、
仮に口頭での約束事であったとしても意思が合致していれば契約として成立する余地はある。
この点は黙っていれば日常的に取り立たされずに流れていってしまうような問題なので、
実際の事例ではおざなりにされているようなケースがとても多い。
それによって発生しているトラブルが、今でも後を絶えないんだ。
それゆえに、実際の賃貸契約実務においては入居時に契約書を交わしておくことも大切だが、
事例に合わせて合意書を改めて交わしたり、事実状態を否定したりする必要がある。
自主管理においては自分が物件を、地所を守っていかなければならない。
不動産屋にとっても自主管理物件は目の上のタンコブのようなものだから、
物件を守っていくという観点からは敵にもなり得る。
少なくとも頼りにしていい相手ではないから、つけ入るスキを与えてはいけない。
そういう連中から不動産を守っていくためにも、
自主管理者はこの契約に対する一般的な感覚は必ず自分で持っておくべきだ。
wrote. サンハイツ吉田