借りた者の権利は所有権とは別に保護される

借りた権利は所有権とは別に保護される

 

「入居者との関係性について」 項目

1.「賃借権は別枠で保護される」

2.「賃貸はいつまで借りていられるのか」

3.「借主の善管注意義務違反事例とその責任」

4.「修繕費を請求することは悪ではない」

 

wrote. サンハイツ吉田 管理者

行政書士明和事務所

行政書士 吉田 重信

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所有物に関しては一般常識で考えると、
持ち主が絶対的な支配力を持っているかのようにも思える。

 

所有者は持ち主としての絶対的裁量をもって、
自由に貸し出したり、貸したものを回収したりできると考えるのが一般の感覚だ。

 

 

しかし、こういった考えは法律上の権利義務では通らない。

 

特に賃貸では貸し借りにまつわる問題が大きなトラブルに発展することもあるゆえに、
借りる権利についてはかなり綿密な保護体制が備えられている。

 

 

また、所有権第一主義的な考え方を認めてしまうということは、
物件の経済的流動を妨げる要因にもなり得る

 

借りる側が安心して借りられないということは、
貸し借りといった事業形態が成立しなくなるということでもあるわけだ。

 

 

そういった背景もあって、法律上では不動産だけに限った話ではないが、
借りている権利は所有権とは別に保護されうる法益を有するものとして考えられている。

 

借地借家法が賃貸契約を更新が前提のものとして扱ったり、
正当事由を欠いた契約解除は認めなかったりするのもそういった理念が元となっているからだ。

 

 

借地借家法26条(建物賃貸借契約の更新等)

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

借地借家法28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

 

 

これはすなわち貸与によって他人の支配下に置いたものは、
原則として所有者だからといって好きに扱うことはできなくなるということでもある。

持ち主からしたら、少々理不尽な話ではあるよね。

 

それゆえに賃貸においては入居をさせるにあたって、
貸し出す期間や契約形態に応じて費用を徴収している物件が少なくない。

 

礼金や更新料なんてのが通例で存在するのはそういった理由からだね。

 

本来、自分で好きに使用できる地所に他人の裁量を与えることになるわけだから、
月々の家賃とは別として、貸与という行為に対する対価が存在するようになったわけだ。

 

礼金や更新料に関しては、近年ではなぜ必要なのかと疑問を呈されることも多い。

しかし、これは己の地所を他人に貸し出すという特殊な行為の性質を踏まえた上で、
大家達が自らの裁量をもって取るかどうかを判断するものでもある。

 

 

つまり、各物件のローカルルールに依存する問題なわけ。

 

だから取ることも、取らないことも別段におかしなことじゃない。

 

 

自身の物件の利用と実態を踏まえて、各自で自由に決めたらいい。

 

ただ、冒頭から説明した通り、賃借権は所有権とは別枠での保護対象となるため、
多くの事例においては権原を基にした主張は認められない。

 

要は、「これは自分の持ち物なのだから・・・」という言い分による対抗は、
賃借権に対しては難しい関係性にあるわけだ。

 

これが大家側にとって入居を躊躇する大きな隔たりにもなっている。

 

 

なので、貸し出すということは物件に対して権利を与えることと捉えた上で、
納得できる形での対価を請求するようにした方がいいだろう。

 

 

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