借主が善管注意義務違反となるのはどんな場合か

借主の善管注意義務違反事例とその責任

 

「入居者との関係性について」 項目

1.「賃借権は別枠で保護される」

2.「賃貸はいつまで借りていられるのか」

3.「借主の善管注意義務違反事例とその責任」

4.「修繕費を請求することは悪ではない」

 

wrote. サンハイツ吉田 管理者

行政書士明和事務所

行政書士 吉田 重信

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賃貸に限った話ではないけれど、
一般的な契約関係においては、善管注意義務という義務が付帯されている。

 

言葉は物々しく見えるかもしれないが、これは別に難しく考えるような話じゃあない。

 

要は契約関係にある以上は、
その関係を円滑に維持できるよう常識的な注意は払いなさいよということだ。

 

ただ、一般的な注意事であったとしても、
それに違反したかどうかが表沙汰に論じられるようなケースはあり得る。

一般的に求められている注意義務であるゆえに、
常識を欠くような行為はそれに反した違法行為とされる場合があるというわけだ。

 

賃貸においては、民法400条の規定がそれに該当するものとされている。

 

 

民法400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、
契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

 

 

賃貸も特定物の引き渡し債務であることに違いはないから、
その引き渡しが済むまでは善管注意義務が課されるということだね。

 

この規定が問題となるケースは、物件に損傷を与えてしまったりした時が多い。

借主の故意や過失、懈怠による損傷や汚損については、
善管注意義務に反するものとして責任を負うことになる可能性が高い。

 

故意に関しては細かく論ずるまでもない話だけれど、
過失や懈怠に関しては事例によって解釈の余地もあるとは思う。

ただ、常識的に考えてあり得ないような扱いによって損害、損傷を発生させた場合は、
やはり借主の責任と考えるのが一般的だろう。

 

例えば、掃除を怠って風呂釜の排水口を詰まらせたり、
特殊清掃が必要になるくらいのカビを発生させたりした場合等だ。

 

通常使用とは言えない利用方法で借主が物件に損傷を与えた場合は、
その行為は善管注意義務違反として原状復帰義務を課されることになる。

これは建物に対する賠償の問題だね。

 

しかし、善管注意義務違反による責任は、
何もこういった賠償問題に限って問われるわけではないことにも注意が必要だ。

 

例えば、契約解除に関すること。

善管注意義務は建物に損傷を与えることだけでなく、
保管や保持についても課されるものだから、不遜にしていれば契約解除も当然、あり得る。

 

貸主が日頃からの利用上の注意を聞かなかったり、
自らの管理領域をちゃんと整頓、保持しようとしなかったりとかな。

こういった行為も積み重なってゆけば、善管注意義務違反となり得るものだ。

 

 

契約に違反している行為じゃないんだからいいでしょ、では済まない話なんだよ。

 

これは善意と良識が問われる領域の話でもあるから、
悪意はもちろんのこと、懈怠や反意が認められる行為の積み重ねも義務違反となり得る。

 

 

つまり、広義的に言えば、これもれっきとした契約違反行為。

 

そのまま続けていれば、損害賠償や契約解除の問題に発展する場合もあるということだ。

 

なんか色々とごちゃごちゃしたことを書いたけれど、
冒頭で言った通り、この規定は本来的には難しく考えることじゃない。

常識的な範囲内で円滑にことが運ぶように、日頃から配慮をしなさいという話なんだ。

 

本来、論ずるまでもなく当たり前の話なんだけれど、
なにも規定がないと実際に問題が起こった時に解釈上での問題が生じる。

それゆえに一般的な注意規定として、法律上でも義務化されているというわけ。

 

貸主と借主はこういった話が出てこなくて済むよう、
日頃から互いに円滑な関係を築いていかなければならないな。

 

 

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