重説を契約前にもらうことは可能か
「重要事項説明に関すること」 項目
3.「重説を契約前にもらうことは可能か」![]()
wrote. サンハイツ吉田 管理者

行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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前項目では契約と重説の違いについての説明をしたが、
本稿では少々、実務上での重要事項説明書の取り扱いについて解説してゆこうと思う。
世間でも重説は契約に関わる重要なものと認知されているから、
当然、当事者はその内容をしっかり理解しようと事前に準備したりするものだ。
その過程で、実務上では不動産購入希望者や入居希望者から、
重要事項説明書を前もってもらうことは可能かという問い合わせをもらうことも少なくない。
購入希望者や入居希望者にしてみれば、
事前に閲覧した上で契約に臨むことができるのであれば、それに越したことはないよね。
僕も素人でなにも実情を知らなかったら、
多分、そういう希望は仲介業者とかに出したりしていたと思う。
でも、現実問題として、実務上でそれをするのは厳しい面もあるんだ。
理由は重説への準備の煩雑さと、不動産契約という行為の性質によるものだね。
重要事項説明書を作成し、重説の準備をするためには、
物件の構造や法令上の制限等を確定させるのに役所回りや実地調査が必須となる。
なかなか想像し辛い面もあるとは思うけれど、かなりの時間と手間がかかるんだよ。
これは物件に関する個別の情報だから、
決してネットなんかで情報収集してどうにかなるような話じゃない。
売主や貸主に確認を取ったり、
役所の担当窓口に実際に足を運んで確認しにいかなきゃあならないんだ。
売買物件の場合は、施工会社に確認を取ることだってある。
売買の場合、物件の構造を把握しておかないと、
買主に伝えておくべき情報自体がピックアップしきれないからね。
賃貸の場合はあくまでも借りる上でのことだからかなり緩和はされるけれど、
それでも場合によっては役所回りが必要になることはある。
そういった手間暇を、まだ契約が確定していない内から行うことに対して、
契約上の義務者が懸念を示すようなケースは少なくないんだ。
あと、不動産契約というものは、
基本的には途中での破棄、放棄もあり得るものだと考えられている。
法律上で手付放棄による解約が定められていることから見ても、
不動産契約においては、それが実務上で起こり得る話だということがわかるだろう。
それゆえに、より懸念が厳しいという面もあるんだ。
民法557条(手付)
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
宅地建物取引業法39条(手付の額の制限等)
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
全部、準備までしておいて、その上で希望者が「やっぱやめます」なんてなったら、
売主、貸主からしたら、もう泣くしかないだろう。
僕だったら、泣く。
だから重要事項説明書の事前対応は、やはり難しいと思っておいた方がいい。
どうしてもというのであれば、手付にそれなりの額を積んだ上で、
義務者と交渉してみるといいだろう。
ただ、それでも対応は厳しいとは言っておく。
ウチだったら、やらないな。
入居が確定しない相手に情報だけ渡すわけにもいかないし。
他の物件であったとしても、そういう面で断られることはあり得るだろうね。
前もってもらいたいという購入、入居希望者の気持ちは否定しないけれど、
義務者としては、それは厳しいという感覚は持っておいてもらいたいという思いがある。
事前検討については重説をアテにするのではなく、
自分で確認した上で行っておくことが望ましいと言えるだろう。
wrote. サンハイツ吉田