改正された連帯保証契約における極度額の決め方と対応法

連帯保証契約における極度額の決め方

 

「連帯保証人と保証契約に関すること」 項目

1.「連帯保証人が負う責任の範囲と必要性」

2.「連帯保証契約にまつわる民法改正」

3.「連帯保証契約における極度額の決め方」

4.「連帯保証人をつけておけば安心か」

5.「信用はなにをもって判断されるのか」

 

wrote. サンハイツ吉田 管理者

行政書士明和事務所

行政書士 吉田 重信

・管理者プロフィール

・お問い合わせ

 

 

 

賃貸での連帯保証契約周りは2020年の改正で大きな変革を見せた。

 

細かいところは色々とあるが、
大抵の面は事務的な対応で事足りることだからここで深くは言及しない。

自主管理する者にとって一番大事なところは、
連帯保証人の保証額に限度額規定が盛り込まれたことだろう。

 

この考え方については、これまでにもあった根保証における極度額規定によく似ている。

 

要は保証人はその契約における上限額(極度額)の範囲内で責任を負い、
なにか事故があった場合はその上限の中で負うべき債務が決められるという事だ。

これはこれまでにあった保証契約におけるトラブルをなくすための改正で、
無限責任を負わせていたこれまでの個人間での保証契約は以後、撤廃していく形となった。

 

 

民法465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

 

 

貸主として火急に考えなきゃならんのは、
じゃあ極度額をいくらにしたらいいのか、という話だよね。

 

極度額規定に上限は特に設けられてはいないから、額面についてはいくらであっても構わない。

それによって契約の有効性に問題が起こることはないからだ。

 

これは極度額自体が債務そのものになるわけではなく、
実際の債務の確定は事故時の算定をもって確定される流れを考えた上でも当然だろう。

 

ただし、極端に高い極度額は、
借主や保証人が契約時に懸念を示す恐れがあることを忘れてはならない。

 

極度額に上限は設けられていないから、額面に関しては自由だ。

しかし、その金額によって互いの合意まで持ち込めなかったら意味がない。

 

それゆえに、契約時に提示する極度額は、
当事者全員が納得できるような金額にしなければならない。

 

貸主側にとっては、実際に発生し得る債務をカヴァーできる程度の金額でないと困るはずだ。

これは事故を想定した上で交わす連帯保証契約の趣旨そのものだから、
それを骨抜きにしてしまうような額面の契約は、貸主の方からも断るべきだろう。

 

借主、保証人にとっては低ければ低いほど良いだろうけれど、
上記のように非現実的な額面は貸主から契約自体を断られる可能性がある。

だからそれなりの数字を提示されることは覚悟した上で契約に臨むべきだ。

 

前置きはこのくらいにして、じゃあ具体的にどのくらい?という本題に入るけれど、
これは大まかに見積もると月額家賃の24か月分、つまり2年分程度が順当と考えられている。

 

これは一般的な賃貸契約の更新期間が2年という面から見ても、
家賃保証を考える上では妥当な金額と言えるよね。

ただし、これはあくまでも家賃保証を想定した上での数字だから、
それ以外の事情があって不相応と言える理由があるのならば、遠慮なく提示した方がいい。

 

例えば、入居するにあたって内装なんかを大きくいじっていて、
退去時にはかなりの額の原状復帰費用が想定されるような場合だ。

こういった状況下だと事故発生時には、
家賃債務の回収と同時に原状復帰債務の回収も図らなければならない。

 

それを想定すると契約期間内の家賃換算だけでは不相応だから、
退去費用も盛り込んだ上で金額を設定しておくべきだろう。

 

あとは使い方の問題もある。

一般的な居住用であればそんなに警戒する必要はないだろうけれど、
事業用での利用だと資材の搬入や屋内作業の影響で建物自体に影響が出るものもある。

 

そういった個別の事情で債務が発生する可能性があるのならば、
それを極度額に含めることは順当と言えるだろう。

 

 

なににしても合意にまで至るコツは、
ちゃんと額面の理由付けを整えておくことだよ。

根拠の見えない数字の伴う契約は、警戒されるのが当たり前だからね。

 

逆にちゃんと理由が伴ったものであれば、
当事者同士が検討する材料になり得るものだから遠慮せず提示した方がいい。

 

近年、貸主は足元を見られやすい立場ではあるけれど、
極度額の値切り行為は健全な契約とは言い難いから、貸主側も警戒すべきだ。

そういうのは自分から斬り飛ばす裁量も必要だよ。

 

極度額はその額面をもって契約者に債務を負わせるものではないから、
その背景を当事者全員が把握できるようにしておけば、無用なトラブルは避けられるはずだ。

 

 

 1.「連帯保証人が負う責任の範囲と必要性」

 2.「連帯保証契約にまつわる民法改正」

続き 「連帯保証人をつけておけば安心か」 

 

 

関連書士業務

 

 前項目 「賃貸契約各論」

次項目 「契約の客体にまつわる注意点」 

 

wrote. サンハイツ吉田

・管理者プロフィール

error: Content is protected !!